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ボウル型構造をもつナノスケール配位子の開発と応用

 ボウル型分子を遷移金属への配位子として活用すれば、金属上に導入される配位子の数を立体的に制御しつつ、金属の周辺には比較的広い反応空間を確保できると期待される。トリアリールメチル型分子の中心元素をリン、ケイ素、およびゲルマニウムに置換した、ボウル型ホスフィン配位子、シラノラト配位子、およびゲルマノラト配位子を開発した。

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 通常、ホスフィンとPdCl2との反応では単核あるいは二核錯体が得られるが、非常に大きなcone angleをもつボウル型ホスフィンTRIPの反応では、ホスフィン過剰の条件下でも三核錯体のみが生成した。これは、構造決定されたPdCl2三量体錯体の初めての例である。このように、ボウル型分子を配位子として活用すれば、金属上に導入される配位子の数を効果的に制御できることが明らかとなった。

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 さらに、ボウル型カルベン配位子としてITmtを開発し、ITmtをもつPd(0)錯体が、結晶状態において、空気中から酸素のみならず二酸化炭素を固定することを見いだした。空気中に0.035%しか存在しない二酸化炭素を固定できる人工分子は極めて限られており、遷移金属錯体結晶による固定はこれが初めての例である。

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