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ボロキシンケージ

 分子サイズの中空構造体は他の分子を内包することができ、内包された分子は時としてその性質を大きく変えることがあります。例えば、不安定化学種を安定化したり、逆に不活性化合物を活性化したりします。私達は、独自に設計した中空構造体(例えば大環状分子やかご状分子)を合成し、そこに内包した分子の新たな性質を引き出すことを目指しています。また中空構造体の新たな利用法も研究しております。

 これまでの研究の一例を紹介します。私達は、ボロキシン形成反応を利用した共有結合性かご状分子の構築に成功しています。ボロキシン形成反応とは、例えばフェニルボロン酸が脱水し三角形状のフェニルボロキシンを形成するような反応のことを言います。もし適切なリンカーで結ばれたジボロン酸を出発物質に用いれば、わずか一段階の反応でかご状分子を組み上げることができるのではないかと考えました(下図)。実際様々なリンカーで結ばれたジボロン酸を合成し脱水反応を検討したところ、結合角に対応した様々な大きさの共有結合性かご状分子を構築することに成功しました。組み上がったかご状分子の内部空間はルイス酸性を示すボロキシンに囲まれた特異な空間となっています。脱水という簡便な操作により定量的にナノメートルサイズのかご状分子を組み上げられることがこの系の大きな特徴です。これはボロキシン形成反応を利用した初めてのかご状分子の合成例であり、「ボロキシンケージ」と名付けております。

ボロキシン.png

• K. Ono, N. Iwasawa

   J. Incl. Phenom. Macrocycl. Chem. 2021, 101, 19-29.

• K. Ono, N. Iwasawa

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• K. Ono, S. Shimo, K. Takahashi, N. Yasuda, H. Uekusa, N. Iwasawa

   Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 3113-3117.

• K. Ono, K. Johmoto, N. Yasuda, H. Uekusa, S. Fujii, M. Kiguchi, N. Iwasawa

   J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 7015–7018.​

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