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ボロキシンリング

 ボロキシンをテンプレートに活用した大環状分子の構築法を開発しました。3分子の基質ボロン酸をボロキシン形成させ反応点を近づけた後、環化反応を行うことで、3つの基質を含む大環状分子を選択的に合成しました。本手法では、大環状分子の合成の際によく使用されるテンプレート分子の添加が不要であり、合成手順が簡便であることが特徴の一つです。また、残ったホウ素部位は大環状分子の修飾に利用することができます。

boro tem.tif

 次に、ここで組み上がった大環状トリボロン酸に着目しました。この大環状トリボロン酸が分子間ではなく分子内で選択的にボロキシン形成すれば、三環性構造を有するボロキシンに変換されます。大環状構造と三環性構造が行き来できれば、“サイズ”や“柔軟性”また“極性”を大きく変化させる新しい構造変換ユニットになるのではないかと考えました。柔軟なリンカーで結ばれたトリボロン酸からの選択的な分子内ボロキシン形成は困難なことが予想されましたが、脱水により大環状トリボロン酸から三環性ボロキシンへ、また加水分解により三環性ボロキシンから大環状トリボロン酸へとそれぞれ変換できることを見出しました。この変換には水のみが関与することからクリーンな構造変換ユニットといえます。また昇温/降温によっても動的な相互変換が可能で、組み上がった三環性ボロキシンはエントロピー的に安定化されたボロキシンとして興味深い性質を示します。我々はこの構造変換ユニットを「B3可変ユニット」と名付け、これを利用したクリーンな材料の創製を目指しています。

B3.tif

• 小野 公輔

   有機結晶部会ニュースレター No 56, 2023, 9–10.

• K. Ono, K. Sawanaga, S. Onodera, H. Kawai, K. Goto

   Chem. Eur. J. 2023, 29, e202300995.

• K. Ono, S. Onodera, H. Kawai

   Chem. Commun. 2022, 58, 12544–12547.

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